決断は一瞬、後悔は一生
しばらく経って、美雨は落ち着いたように叶芽に「泣いちゃってごめん」と申し訳なさそうに言った。
「泣いていいんだよ?」
叶芽が不安そうに美雨の頭を撫でる。
「もう大丈夫」
「美雨の泣いたところ初めて見た。どうしたの?」
叶芽の言葉を聞いて俺も思い出した。
俺は今までずっと、美雨の泣いたとこを見たことは一度もなかった。
だから美雨が泣いたことに驚いた。
「私ね」
美雨が口を開いた。
「本当は好きな人いるの」
「えっ!?」
叶芽が大きい声で驚いたという反応を見せた。
「誰?!」
叶芽が美雨に顔を近づけて言う。
美雨は間を取って言った。
「ゆ、結城くん・・・」
「えーっ?!」
叶芽が目を丸くする。
え?俺?!
いつから?
俺のこと見ててくれたの?
なんで俺気付かなかったんだ。
いきなりすぎて頭が混乱する。
「私ね、結城くんのこと好きだけど諦めようと思ってる」
美雨が悲しそうに声を低くする。
なんで諦めんの?
俺は諦めれねーのに。
「なんで諦めるの?諦めたら全部終わるんだよ?」
叶芽は真顔で言う。叶芽の言うとおりだよ。
諦められたら俺はどうすればいいんだよ。