三本串
救急車に 文太と二人乗り合わせ 病院へ向かう


華子は小さく唸り震えていた


良雄は手を握り

大丈夫 大丈夫

繰り返し伝えた


救急治療室に入り 夜の静かな待合室に 文太と良雄は二人寄りそって座っていた


『文太 心配すんな 少し寝ろ』


良雄の言葉に

無言で首を横にふる


よほど驚いたのだろう

事故の瞬間は見ていなかったろうが 子供ながら 音や雰囲気の恐怖を感じているのだろう


あの元気の固まりがすっかり ふさがってしまっている


『大丈夫 心配すんな 大丈夫 大丈夫』

文太に言ってるのか自分に言い聞かせているのか


しばらくして文太は良雄にもたれ 眠りについた


ガチャン


ドアが開いて先生がでてきた。


『せ 先生?』


『安心してください 命は無事です』


良雄は足の力が抜け座り込み


『ありがとうございます 先生』


『は はい ただ・・』

先生は言いかけ

『こちらへ』

良雄を治療室に案内した


嫌な予感

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