三本串
夜の7時、すでに店は満員となり、入り口には待ち客や持ち帰り客もちらほら並びはじめてきた。


佐々木らはカウンターに座ろうとしたがすでに他の常連客で埋まっていた。


『お 佐々木さん、 今晩は』
カウンターに座っていた良雄の友達 邦夫が声を掛ける。


『お 邦夫 今日は一人かい? カウンターいっぱいだし従業員も連れてきたから向こうで飲んでるよ』


そう言って華子に案内され奥のボックス席へ向かった。


この佐々木、いわゆるハゲデブ しかもチョビヒゲの絵に描いたような中年親父。

近所の会社の社長さんだ、 [三本串]の常連で よく従業員を連れて来てくれている。


『おい 良雄聞いてくれよ』


またカウンターで邦夫が愚痴を初めた、


一人、飲みに来る客の半分は 愚痴を聞いて貰いたいタイプ が多い。

いくら毎日 違う話 違う客だとしても 聞き手は大変だ。








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