三本串
二人は 華子の好きな果物と花を買い 病院に向かった


『父ちゃん 母ちゃんいつまで病院いるの?』


『ん、 そうだな もう少しだろ 文太 母ちゃんに あまり そう言って困らせるなよ』


『うん 早く治らないかな』


寂しくなってきたかな

良雄は文太の頭を 軽く撫で

『さっ 元気だして 母ちゃん待ってるぞ』



病院につき 部屋に入ると車椅子に乗って窓から外を見ている華子

『母ちゃん はいっ』

『ま 綺麗なお話 ありがとう』


花を手にとり 匂いを嗅ぐ


棚の花瓶を 取ろうとした時


『あ 母ちゃん 僕やるよ』


花瓶を華子から取り上げ 水をくみにいく


『ありがとう 文太』


何だか華子の元気がない


『元気ないな どうかしたか?』



良雄が聞くと


浮かない顔で


『全然 足に感覚がないの もう駄目かも』

俯く華子


『おい まだ これからだって 必ず治るよ 信じて頑張るんだ』


励ます良雄


『・・・・』


文太といい 華子といい 今日はどうしたんだ?


人間 不思議な物で 何日かサイクルで やけに淋しかったり 自虐的になったり という日がある

太陽が好きな日

夕日が好きな日

月が好きな日

今日の二人は 夕日の好きな日のようだ


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