三本串
『あ 良雄 さっき文太帰ってきたよ 飯食って部屋に行ったけど』

すでに客が入り 慌ただしく邦夫が言った


イラつきも 少しホッとした様子


『何してんだアイツ』

『ま 怒んなって さ 仕事仕事』


邦夫がさらりとかわし二人共仕事に入った


結局 閉店までドタバタと二人でこなした


『ふー 疲れた やっぱり先輩いないとキツいな』


笑いながら邦夫が言うと


ギロッ


良雄が睨む


『おー 怖っ あたられる前に帰よ
良雄、文太寂しそうだったぞ 怒んなよ じゃ明日な』


邦夫は振り向き様にそう言って店を出て行った


しばし何かものふけって電気を消し家に戻った。



熟睡中の文太



結局、今日何も話さなかったな


こんなことなかったな


そんなことを思いながら良雄も眠りについた

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