俺の恋した生徒は…《先生×生徒》
「こんなとこでサボリかよ」
「じゃあこれからは数学準備室貸してくださいよー!」
へりくつを言う朱莉に、
「そう言う問題じゃない、授業をサボるなと言ってるんだよ」
先生も呆れて笑ってるから
「ふふっ」
気付けば私もつられて笑っていた。
「おい、笑ってるけど楠木もだぞ」
「…ごめんなさい」
「サボるなんて珍しいな、なんかあったか?」
「いや…」
先生には言えない。
「恋の悩みですよ!」
「ちょっと朱莉!!!」
「…そうなのか?」
「いや、違いますっ!!!」
「美桜、顔赤いよ」
意地悪そうに笑うあかり。
朱莉のせいなのに…
「そうか、恋か…」
「…っ」
「先生こそ彼女いないの?」
ちょっ、朱莉!
…って私も実は気になる
「俺は、残念ながらいないんだよなー」
「…じゃあ好きな人は?」
あ、、
私までなんて質問してるんだろ。
「それは…秘密だ」
秘密…か、
ってことはいるの、かな。
「まあ俺の話はいいよ。香山先生、心配してたからあとで謝りにいけよ」
そう言って先生は音楽室から出ていってしまった。
「美桜!先生彼女いないって!」
「でも、きっと好きな人はいるんだよ…」
「分からないじゃん!!美桜のことかもよっっっ」
「ちょっと!!!からかわないでよ…」
「でも本当に先生、美桜には優しいよね。なんか他の生徒とは違う感じがする」
「えっ…そんなこと、ないと思うけど」
それって、私だけ特別ってこと?
先生はみんなに優しいだけだよ…ね?
「もうそろ授業終わる時間だし、私たちも戻ろっか」
「そうだね。朱莉、今日はありがとう」
その日の放課後。
私たちはサボってしまった国語の香山先生に謝りに行き、朱莉は部活へと向かった。