俺の恋した生徒は…《先生×生徒》
私はスマホの電話帳から″学校″の文字を探す。
途中で″加賀美先生″の文字が見えて一瞬手を止めたけど、″学校″をタップした。
ーーーー---プルルルルル
「はい、--高等学校の加賀美です。」
「…加賀美先生?」
こんな時に悩みの種の張本人が出るなんて…
神様っていじわる。
「その声は楠木か?」
「はい」
声で分かるんだ…
こんな小さな事でも嬉しいと思ってしまう私は単純なのかな?
「あの、風邪を引いてしまったみたいで、今日学校休みます。」
「大丈夫なのか?」
「はい。少し具合悪いだけなので…」
「そうか、親御さんは仕事…だよな」
「はい、でも1人で大丈夫です。」
「それならいいけど、心配だな…とりあえず今日の夜にでもお母さんに連絡しとくから」
そうだ、忘れてた…
うちの学校は生徒本人が休みの連絡を入れた場合、親に連絡が入ってしまう。
もう高校生なんだからいちいち報告しなくていいのに…
「あの、その事なんですけど…」
「ん?なんだ?」
「今日休んだこと、お母さんに連絡しないで欲しいんです…」
「…そうは言われても決まりだからな」
「どうしても…ダメ?」
「はぁ…今回だけだぞ。」
「先生ありがとうっ!!」
「それにしても、風邪引いた時くらい休ませてもらえないのか?」
「…そしたら多分、辞めさせられちゃう」
「そうか。風邪、早く治せよ。」
「はい。ありがとうございます。じゃあ…」
「あ、待て楠木。困ったことがあったら連絡してきていいんだからな」
「分かりました、ありがとうございます」
「おう。じゃあお大事に」
「はい、失礼します」
やっぱり加賀美先生が出てくれて良かった。
他の先生だったらお母さんに連絡されるところだった。
私は安心してもう1回ベッドに入って横になった。