王様と黒猫
髪はぼさぼさドレスはぼろぼろ。

陛下はそんな私を笑って許してくれたが、また遊びに来てくれというのは社交辞令に違いないと思っていた。

だって、私がもし陛下だったら、こんな突拍子も無いじゃじゃ馬娘にもう一度逢いたいなんて思わない。




そんな事を思い出していると、まだ血の気の無い顔をしているお父様が震える声で、とにかく早く封筒を開けてみろと促す。私も震える手で、恐る恐る開封する。

もしかして、私が折ってしまった木は国の重要種で、うん千万の請求でも書かれているのではないだろうか。それとも、私が上に落ちた事で陛下の身体の具合が悪くなり、その慰謝料の請求かもしれない。

封筒と同じ色の便箋を広げて、ドキドキしながら中の文を読んだ。


「シオン! 何が書いてあるんだ?!」

「……うん、黒猫に私と同じ名前を付けたって」

「……?! ほ、他には……?」

「……明日の午後、お城へ遊びに来いって書いてある……みたい」


手紙の最後には、アレックス陛下の直筆のサインと王家の刻印が押されている。文面には木の賠償額も、陛下への慰謝料も書かれてはいなかった。


――――どうやらこれは、いたずらでも夢でもないらしい。




















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