王様と黒猫





翌日の午後の早い時間。迎えに来た馬車に乗せられ、私はまた陛下のいるお城へ来ていた。

ここへ来るのには、どうしてこんな話になったのか両親に説明しなければならなかった。説明したらしたで黒猫の一件をこっぴどく怒られ。ぼろぼろにしてしまったドレスの事も、嘘をついて誤魔化していたのがばれてしまいまた怒られた。

事実を聞いてお母様は卒倒してしまうし、お父様はこの世の終わりかのように嘆き。

そして私は、ネルソン公爵家代表で謝罪の為の人身御供としてまたここへ送り込まれたのだ。


陛下直々にお城へ招待されたのに、私は怒られてばっかりで何も良い事がない。

ひょっとしたら陛下と私は、この世で最悪の相性なんじゃないだろうか。


豪華な応接の間へ通され陛下を待っている間も、私の気分は全く良くならなかった。もうどうでもいいからこの場から逃げ出してしまいたいくらいだったが、両親のあの剣幕を思い出すとそうもいかないのはわかっていた。

そんな事をぐるぐると考えていると、突然ノックもなしに陛下が黒猫を抱いて部屋へ入ってきた。


「おう! シオン、よく来たな!」


そのあまりに気さくな態度に唖然としてしまったが、すぐにはっとしてソファーから立ち上がると、私は陛下に向かって深々と頭を下げる。

ネルソン家の代表で謝罪に来ているのだ。今度へまをしてしまったらきっと、家から永久追放されかねない。


「ほ、本日はお招きいただきありがとうございます! 先日の御無礼をどうかお許し願いたく……」

「――――お前、俺に逢うといつも謝ってばかりだな」

「へっ……?!」




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