身代わりペット
1にゃん

〇〇症候群、発症

「こっちへおいで」

「はい……」

雲と雲の間から顔を覗かせた月の明かりが、リビングに射し込む。

その明かりが、一人掛けのソファーに深く座り込んだ課長の顔を、スポットライトの様に照らした。

「ここに……」

課長が自分の膝をポンポンと叩き、誘導する。

私は言われた通り膝の上に乗った。

「ん……いい子だ」

「っ……」

課長が微笑みながら、頬にかかる私の髪の毛をかき揚げ、その髪にキスをする。

月明かりに照らされた課長の顔が妙にセクシーで、直視出来ない。

私は急に恥ずかしくなって顔を背けた。

「こーら。こっち向いて」

「あっ……」

頬を両手で挟まれ、無理矢理目を合わせられた。

カァァッ、と顔が熱くなる。

ギュッと目を瞑り、

「課長……早く…して、下さい……」

と、急かした。

これ以上は、我慢出来ない。

「ん?ああ。じゃあ、始めようか……」

フッ……と課長が笑った。




来る――。




そう構えた瞬間、

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