身代わりペット
今日は朝から忙しかったから、この時間はちょっとありがたい。

多分、10分もそうしていなかったと思う。

急に課長の携帯が鳴って私も目を開けた。

課長が電話に出て、「はい、はい、分かりました。お待ちしています」と言って電話を切った。

「どうしたんですか?」

「〇×商事の部長、今から来るって」

「えっ!?」

私はガバッ!と起き上がる。

課長が名残惜しそうな顔をしてるけど、そんなの気にしている場合ではない。

「こんな事している場合じゃないじゃないですか!早く戻りますよ!」

「えぇ~~~」

「えぇ~じゃないです!ホラ!シャキッとして!」

クシを取り上げ、無理やりポケットにしまう。

うん。顔色も戻ったかな。

「私、先に行きますよ!?続きは帰ってからしますから!」

「分かった……」

渋々納得させ、応接室を後にする。

この時、余りにもバタバタしていたせいで気が付かなかった。

物陰に隠れて、誰かがこちらを見ている事に。
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