身代わりペット
「良いのは見付かったか?」

「いえ、まだ……」

「そうか。…あ、あそこなんてどうだ?」

課長が今出た斜め向かい位に建っているモダンな店構えのお店を指さした。

そこも最近出来たお店だろうか?見た事が無かった。

「あ、ホントだ。ちょっと見ても良いですか?」

「ああ、構わないよ」

課長がニコッと微笑む。

「ありがとうございます」

こうしていると、デートしているみたいでちょっと照れ臭い。

店内に入った瞬間、あ、ここかも。と言う直感が働いた。

ちょっとレトロな空気が漂っている店内。

置いている物もアンティーク調の物で統一されていて、素敵だ。

このお店は可愛すぎると言う事が無い様で、課長も店内を物珍しそうにキョロキョロ見回している。

それを見て、ちょっと安心した。

私は嬉しいし楽しいんだけど、課長はどうなんだろう?とずっと不安だった。

男性って、女性の買い物に付き合うのめんどくさがるから。

和矢だったら絶対に「だりぃ~~」とか「オレ先帰る」とか言ってる。

その点、課長は女性をエスコート出来るし、どう返答すればいいかもちゃんと分かっている。

何件か前に「疲れていませんか?」って聞いたら「いいや?新鮮で楽しいよ」と笑って答えてくれた。

その返答を聞いた時、大人だなぁ、と惚れ惚れしてしまった。

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