身代わりペット

プレゼントは大成功。

いつものカフェ。

私と千歳は冬以外は定番で座るテラス席に通され、談笑していた。

「ハッピーバースデー!!はい、プレゼント!」

「ありがとう。開けてもいい?」

「どうぞどうぞ!気に入ってくれるといいんだけど……」

ガサゴソと千歳が包みを開けているのを、ドキドキしながら見る。

(う~…この瞬間っていつになっても緊張するなぁ)

パカッと箱を開けた瞬間、千歳が「あっ…」みたいな顔を一瞬した。

その表情を見て、失敗したか!?と不安になったけど、どうやらそうではなかった。

「なんでアタシの欲しかった物分かったの?」

「え?そうなの?」

「うん。前々から欲しいと思ってた」

「そうなんだ。じゃあ、良かった」

さっきの「あっ…」で一瞬ビビったけど、『こんなの要らない』の「あっ…」じゃない事に安堵し、私はホッと胸を撫で下ろした。

「素敵な万年筆。凄く気に入った。でもこれ、高かったんじゃない?見た所アンティークっぽいけど……」

千歳が万年筆を手に取ってクルクル回しながらそう言った。

「うんや?そうでもなかったよ?」

……少しばかり、嘘をつく。

本当は、ちょっと奮発してしまった。

でも色々相談にも乗って貰ったし心配もかけたし(火事の事や失恋の事)。

そのお礼も兼ねてだったから値段なんて問題じゃなかった。

「そっか。ありがと。大事にするね」

千歳はバッグから取り出した手帳に万年筆を挟み、またバッグにしまった。
< 127 / 193 >

この作品をシェア

pagetop