身代わりペット
なんだろう。

この話をすると、千歳がすごくイライラし出す。

その証拠に、また氷を噛み砕いて食べてる。

「なんかあったの??」

「別に何もないわよ。アンタは気にしないで毎日課長とラブラブしてりゃ良いの」

「あのね……」

私は本気で心配して聞いたのに、千歳は人をおちょくる様な返事しか返さない。

なにがなんでも言いたくないんだな。

こうなっては、梃子でも動かなくなる千歳さん。

こっちがどうにか聞き出そうとしても、のらりくらりとかわされてしまう。

なのでこの案件は、『気にしない』が一番だ。

「お待たせいたしました。ランチのAがお2つになります!」

「ほら、来たわよ」

「わっ、美味しそう!」

目の前に置かれたお皿からは、食欲をそそる良い匂いが。

「ごゆっくりどうぞ。…あ、コーヒーも付きますが、食後になさいます?それとも今お持ちします?」

と聞かれたので、千歳にどうする?と尋ねた。

「食後にして下さい」

お手拭きで手を拭いている千歳が店員さんに言うと、店員さんが私に視線を移したので「私もそれでお願いします」と言った。

「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」

ペコっと頭を下げた店員さんが、すみませーん、と言う声に反応して行ってしまった。

「あー、お腹空いた!食べるぞ~!」

千歳の煮え切らない返答にちょっとモヤモヤを抱えてはいるけど、今は目の前にあるランチを食べる事でそのモヤモヤを解消しよう。

うんうん、と頷き、私たちはあっという間にランチを平らげた。
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