身代わりペット
「帰りましょうか」

「そうだな」

並んで歩き出す。

さっきまで心細かったけど、今は課長が横に居てくれるから安心していれる。

別に寒くもないんだけど、なんとなく手をさすった。

すると横から手が伸びて来て、手を握られる。しかも恋人繋ぎと来たもんだ。

「え……?課長!?」

「うん?」

「手!」

「うん」

「いや、うん、じゃなくて……」

「うん」

「いや、あの……」

なぜだかニコニコしている課長。

私は顔があっつくなり、うつむいた。

課長って、手を繋ぐのが好きなのかな?

遊園地の帰り道もそうだった。

結局あの後もマンションに着くまでずっと繋いだままだったし。

(いや、良いのよ。うん。良いんだけど……て、手汗が~~~!!)

季節は夏に近いし、ずっと握ったままだと手汗がヤバい事になる。

離して貰いたいけど離したくない。

そんな私の葛藤なんで露知らず、さらにギュッと強く握られ、余計に手汗を掻く羽目になってしまった。

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