身代わりペット
「てかさ」

「うん?」

「なんでアンタは告白しないのよ」

「え?」

「アンタがモタモタしてるから、課長が他所の女の事考える隙が生まれるんでしょうが」

「うっ……」

千歳が痛い所を突いて来る。

「だって……」

「だってじゃない。もうこの際、ハッキリ告白しちゃいなさい。んでもしフラれたらウチに来な。酒でも愚痴でもとことん付き合ってやるから」

「千歳……」

千歳のぶっきらぼうな優しさが、荒んだ私の心にじんわりと広がって行く。

(男前だなぁ)

千歳の鼓舞に、なんだか勇気が沸きて来た。

「……うん、分かった。私もこのままだと辛いし、課長に告白してみる!」

「うん。頑張んな。上手く行く様に祈ってるから」

「……ありがとう」

このままの関係を続けて行くのは正直もうしんどいし、決着を付けよう。

「お待たせしました!ランチのBがお2つです!」

「あ……」

国枝さんが注文していたランチを運んで来てくれた。

「美味しそう」

「ホントね」

目の前に置かれたランチのBは、こないだ食べたランチAの別バージョン。

メインのパスタは一緒なんだけど、サイドに付いている物が違った。

「ごゆっくりどうぞ~!」

国枝さんが勢いよく頭を下げたと思ったらパタパタと走って厨房へ帰って行った。

忙しそうだなぁ。

「腹が減っては戦が出来ぬ。とりあえず食べましょうか」

「うん!いただきます!!」

この後、何があっても空腹で切なくならない様に、お腹いっぱい食べておこう。

その後、食後のケーキも全て平らげ、私は千歳に「頑張んな!」と背中を叩かれ帰路に着いた。
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