身代わりペット
――ピロン♪

何度目かの着信にビクッ!と体が震える。

もう内容を確認するのが怖かったけど、確認しなければならない。

そこには、

『明日までにどうするか決めとけよ』

と書かれており、それ以降は着信が鳴る事はなかった。

「……………………」

頭が真っ白。

パニックと言うか、真っ白。

思考が停止状態。

別れ話をしてから、一か月以上が経つ。

その間なんの連絡もなかったクセに、今さら「別れ話に納得していない」……?

「和矢のヤツ……なんで……」

腹が立つと言うより、なんだか悲しくなって来た。

私はこんな卑劣な事をするやつをずっと好きだったのか。

そう思ったら泣けて来た。

「訴えるって、どう言う事だろう……。明日までに返事をしなかったら……?もしかして、課長にまで迷惑掛ける気じゃ……」

そうだよ。

ツーショットの場面を写真に撮られてるんだもん。

和矢は課長も巻き込む気でいる。

「絶対に明日までに何とかしないと……」

でも、どうしたらいい?知り合いに弁護士なんていないし。

「あ……」

一瞬、「なにかおかしな事があったら必ず知らせる事!」と言われていた千歳の顔が頭を過る。

しかし私は、頭を振って千歳の顔をすぐに頭から追い出した。

「なんにも関係ない千歳を巻き込めないよ」

自分で出来る事は何かないか?

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