身代わりペット
判明した涙のワケ
都内某所。
37階建てのタワーマンション最上階。
前面に張り巡らされた窓からは、キラキラ輝く都内の夜景が一望出来る。
そんな煌びやかな世界とは対照的に、だだっ広い部屋には家具が一切なく、ソファーとガラスのテーブルのみ。
物で溢れ返っている私の部屋とは大違いだ。
でも…生活感がまるでないこの部屋はなんだか落ち着かない。
「どうぞ」
緊張と居心地の悪さでソワソワしている私にコーヒーを差し出してくれている人物は、複雑そうな笑顔を浮かべている。
目の腫れはすっかり引いたようだ。
「ありがとうございます」
コーヒーを受け取り、私はまた夜景に視線を戻した。
……そう。
ここは上川課長が住んでいるマンション。
なんで私が課長のマンションに居るのかと言うと、話は昼休みまで遡る。