身代わりペット
「証拠は?」

「え……?」

「俺、別れたい、なんてメール貰ってないんだけど?なんならケータイ確認するか?」

和矢は自分の携帯を取り出し、目の前に差し出す。

「そんなの、消してしまえば証拠は残らないじゃない!」

「んじゃ、お前の送信履歴を見せて見ろよ。送ったって言うならお前の方は残ってるだろ?」

そう言われて、私はグッと黙った。

出来るものなら見せてやりたい。

でも……。

(私の方だって消しちゃったのよ!!)

みんなが、私が携帯を見せるのを待っている。

しかし、いつまで経っても携帯を見せようとしない私に和矢が、

「ホラ、ウソなんじゃねーか!本当はそんなメール送ってないんだろ?送信履歴に残ってないんだろ!?」

と勝ち誇った様に言い放った。

『やっぱり……』

『え~、最低じゃん』

『課長、かわいそ~』

と言う声が聞こえる。

「ね!みなさん!こいつは嘘つきでビッチな女なんですよ!みなさんが証人になってくれますよね!?僕、こんなに傷付いたんです。この人から慰謝料貰ってもいいですよね!?」

和矢は、演説の様に大きく手を広げて涙ながらに訴えかけている。

ここにいる全員が、和矢の訴えにうんうんと相槌を打っていた。

それを見て、私は愕然とした。
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