身代わりペット
みんなが、特に女性陣が和矢と新井麗子に白い目を向けている。

お前たちの方が嘘つきじゃないか、と言う視線。

すると、新井麗子が自分だけは助かろうと思ったのか、弁解し始めた。

「ちがっ、違うのよっ!ワタシは嫌々だったの!コイツがしつこく頼んで来るから仕方なく!お願い、みんな信じて!!」

新井麗子が瞳を潤ませながら特に男性社員達に向けて訴えかける。

「ワタシだって、ハメられたのよっ!!」

しかし、今の録音の会話を聞いて、新井麗子を庇う男性社員は一人もいない。

「ちょっと待てよ!お前も金が手に入るってノリノリだっただろうが!!」

そんな態度の新井麗子に腹を立てたのか、和矢が新井麗子の肩をグイっと引っ張り突き放した。

よろよろとよろける新井麗子が、和矢をキッ!と睨む。

「いったいわね!ジョーダン言わないでよね!ワタシは反対してた!」

「なんだとっ……!?」

ギャアギャアと、言い合う二人。

そんな中、ギャラリーの誰かが「てか、今の音声ってどこから流れて来たの?」とボソッと呟いた。

その声にいち早く反応したのが新井麗子で、

「そうよ!誰よ!?今の音声流したのっ!?」

と大きな声で叫んだ。

オフィス内がシーン…と静まり返る。

みんなが「誰だ?」と顔を見合わせていると、スッ…とゆっくり手を上げた人物がいた。

その人物は――。
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