身代わりペット
「淳一さん」

「うん?」

「猫、飼いませんか?」

「え……」

私の突然の提案に、淳一さんは驚いている。

「真っ白い、新雪みたいな綺麗な毛並みの」

「紗月……うん…うん……っ!」

淳一さんが、目元をグッと拭った。

私がよしよし、と頭を撫でると、ありがとう、と言って頬にキスをして来た。

突然の事で私が口をパクパクさせると、淳一さんがしてやったり、みたいな顔をしている。

「もうっ!」

恥ずかしがっている私を見て、ハハハ、と淳一さんが笑っている。


目の前には愛しい人と澄んだ青空。


(早く、会いたいなぁ……)

そう思いながらお腹をさすると、ポコポコと元気に動いて愛しい我が子が応えてくれた。

『もうすぐ会えるよ』

そう言ってくれているようで、私は笑った。


―完―



――ちなみに、淳一さんの呼び掛けにこの子が反応する様になるのは、この時から大分あとの話になる。


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