身代わりペット
「……美味しくなくはない」

「ふぅん。そうは見えないけど?あんなに食べたがってたじゃん」

「うん。そうなんだけど」

「今日、上の空みたいだし、なんかあった?」

「別になにもない……」

がっついて食べる気力もなくて、さっきから目が合っているわたり蟹をツンツン突く。

「そう?課長と逆転しちゃったね。課長、今日めっちゃ活き活きとしてた。なにかあったのかな」

『課長』と言うワードが出た瞬間、わたり蟹をいじめていた手が止まる。

あ、まずい。と思ったけど、時すでに遅し。

千歳の目が、キランと光った。

「紗月、アンタ分かりやすいね。課長となにかあったでしょ?昨日のお昼に課長にもう一度話し聞いてみるて言ってたもんね。その時も休憩から帰って来たら課長、ちょっと機嫌良くなってた。さて、昨日は何があったのかなぁ?」

めちゃくちゃ楽しそうにニヤニヤしている。

どうにか切り抜けられないか考えたけど、多分無理だしなんだかめんどくさくなっちゃって事の経緯を全て話すことにした。

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