身代わりペット
ではあれは、課長だったんだろうか。

それとも、願望も入っているのか。

(ん?願望?)

そうなると、私は課長の事が好きって事になる。

(いやいや!それはない!私が好きなのは和矢!付き合っているのも和矢!)

頭をブンブン振って、その思考は頭の中から消した。

(あ……)

昨日のお酒が少し残っているのか、それとも頭を思いっきり振った為か目の前がグワングワン揺れる。

「朝から百面相か?」

「ほえっ!?」

急に横から声がして、ビックリした。

「おはよう」

「お、おはようございます!」

課長と目があった瞬間、隣に寝ていた事を急に意識し出してドキドキする。

「もう10時か。朝食用意するけど、食って行くか?」

よっ!と言う掛け声と共に、課長が上半身を起こす。

私もそれに習って起き上がった。

「いいんですか?」

朝食、と聞いたら、お腹がグゥ、と鳴った。

「ああ、俺も食べるしな」

お腹の音が聞こえたのか、課長がクスっと笑う。

恥ずかしい。

「お手伝いします」

「助かるよ」

じゃあ、と二人とも本格的に起き上がり、キッチンに移動する。

その後は、凄かった。

昨日のお礼に私が作ろうと思ったんだけど、課長があっという間に本格中華粥を作り上げてしまった。

私もそれなりには出来ると自負していたけど、課長の手際の良さと料理の腕前を見て、もっと精進しないとな、と思った。

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