身代わりペット
彼氏…和矢とは、付き合って4年になる。
この会社に入社して、知り合った。
私ももう26歳だし、そろそろ結婚、と思ってるんだけど……。
こないだ和矢の前でそんな話をしたら、あからさまに話をそらされた。
それはもう、不自然な位に。
その時の事を思い出して、気分が沈む。
(和矢は、私と結婚したくないのかな……)
はぁ……と、ため息が漏れた。
「アタシは、課長の方が良いと思うけどね」
「え?」
千歳が突然そんな事を言い出す。
「なにそれ」
「だって今はアレだけど、本来なら仕事も出来るし、部下からの信頼も厚いし、まあイケメンだし、収入だって良いし、優しいし。申し分なくない?」
千歳が指折り数えて課長の良い所を上げて行く。
「いや、それは確かに良いんだろうけど……」
「でっしょー?課長に彼女がいないんなら、狙えば?あんたならイケるんじゃん?」
何を言っているんだ、コイツは。
「……あの、千歳さん?」
私は小さく手を挙げる。
「はい、紗月さん」
ピッ!と指を指されたので、話の矛盾を指摘した。