身代わりペット

豪華なランチじゃないけれど

「んで?あれからなんの音沙汰もないの?」

「うん」

昼休み。

今日は天気が良いし風もないから、自作のお弁当を持って千歳と一緒に近くの公園でランチタイム。

「はは~ん。だから卵焼きも焦がした、と」

「おふっ……」

痛い所を突かれて、言葉が出ない。

せっかく意気込んで作ったお弁当の中には、焦げた卵焼き。

無心にもなれるし、ストレス発散の意味も兼ねてお弁当を作ったんだけど、暗い気持ちで作るとこうなっちゃうんだな、と改めて思った。

「いきなり『お弁当作って来たから外で食べよう!』なんて言うからおかしいと思ったんだよ。失敗作を片付ける為にアタシを巻き添えにしたのね」

「いや、そう言う意味じゃ……」

千歳が卵焼きを箸でつまみ、パクンッと口に放り込んだ。

「うん。うん。でも味は問題ない」

もぐもぐと頬張りながら頷いている。

「ごめん。こんなはずじゃなかったんだけど……」

唯一の取柄を失敗してしまって、より一層へこんだ。

「美味しいに変わりはないんだから気にしない、気にしない」

千歳が、唐揚げ・タコさんウインナー・サラダと次々に口に運んでいる。

それを見てホッと胸を撫で下ろし、私も食べ始めた。

でも卵焼きは、やっぱりちょっと苦い。

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