身代わりペット
何度も深呼吸をしている内に大分落ち着いた様で、

「いや、本当に申し訳ない。自分でも制御が効かなかったんだ」

と、課長が頭を下げた。

「ちょっとビックリしましけど、先ほども言った通りそれは良いんです。でも、なぜ突然あんな事に?」

ちょっと前までは上の空でため息ばかり吐いていたのに、なんであんなに興奮?したのか。

「ふわふわ」

課長がボソッと呟いた。

「え?」

よく聞き取れず、耳を課長の方へ傾ける。

「中条が髪の毛をふわふわさせるから」

「……は?」

髪?

ふわふわさせる?

なにそれ。

私そんな事したっけ?

私の理解力のなさに痺れを切らせたのか、課長が急に立ち上がり、

「さっき頭を掻いていただろう!?そのふわふわな髪が、俺の理性を破壊しようとするんだ!」

と、私の頭を指さし叫んだ。

はぁ、はぁ、と課長の息がまた上がる。

「えぇぇぇ……」

課長がどんどん変態チックになって行ってる気がするのは私だけ?

それとも、素はこんな感じなんだろうか?

(でも)

なんだろ。

そんな課長が、だんだん可愛く見えて来た。
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