身代わりペット
私しか知らない課長の姿。

優越感も、多分ある。

クールで顔が良くて仕事も出来る完璧な人が、ここまで私に弱みを見せてくれている事に、愛おしさすら覚えて来た。

叫んだ為に、一度落ち着いた呼吸がまた乱れている。

このままでは酸欠で倒れてしまいそうだった。

ここはもう、私も腹をくくるしかないのかも知れない。

「……分かりました」

そう言いながら、私は課長の横に座り直す。

「中条?」

「どうぞ」

私は課長にズイッと頭を差し出した。

「へ?」

「ど・う・ぞ!」

「え、あの」

「撫でればいいじゃないですか!」

「ぅわっ!」

戸惑っている課長の腕を掴み、強引に自分の頭の上に乗せる。

「お好きなようになさって下さい」

「…………」

突然の事に、課長はビックリしているみたいだった。
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