身代わりペット
「課長?」

「うん?」

「もしかして……」

「うん。正解」

私が何を言いたいのか察した様で、即答をして来た。

「うん、って」

可愛く返事をしているけど、実にくだらない理由だった。

どうやら課長は、チョコレートを食べるちょっとの間も手を離したくないらしい。

でも、その間にもお腹の虫は凄い音を鳴らしてチョコを欲してる。

このままにして倒れられでもしたらこっちが困るんだけど。

「私は逃げませんよ」

「うん」

「ほら、だから食べて下さいって」

ズイッと目の前に再度差し出すと、課長はうーん、と少し考えてから、何を思ったのか口をパカッと開けた。

< 64 / 193 >

この作品をシェア

pagetop