身代わりペット
「所で」

「はい」

「中条はどうして俺を待っていたんだ?」

「えっ!?え、っと……」

不意に聞かれて、私は言葉に詰まる。

なんて答えたら良いんだろう。

正直、私にも明確な理由があった訳じゃない。

なんとなく、課長を待っていたくて待っていただけで。

「もしかして、ペットになってくれ、って言った件か?」

「え?」

確かにその話もあったけど、でも今日待っていたのは全然そんな事じゃなかった。

「いえ、違っ」

「あれは忘れてくれないか?」

「……へ?」

課長が申し訳なさそうな顔をしている。

「考えなしにあんな事口走ってしまったけど、中条の言う通り迷惑でしかないよな。もしこんな事がバレたら彼氏だって不快に思うだろうし」

「え、あの……」

ちょっと待って。

急にそんな事言われて、思考が追い付いて行かない。

確かに、最初は無理!って思ってたけど、今は……。
< 74 / 193 >

この作品をシェア

pagetop