身代わりペット
「え?彼氏?」

何を言っているのか分からなくてキョトンとしていると、大家さんが課長を指さした。

「彼氏なんでしょ?男前で羨ましいわぁ」

ホホホホと笑いながらバシバシ背中を叩かれ、よろめいた。

あ、大家さん、また変な勘違いをしてる。

「いや、あの……」

「あたしももうちょっと若ければねぇ!」

「あの、大家さん、この人は会社の……」

「でも、前に見た人と感じが違うわねぇ。紗月ちゃんも隅に置けないんだから!あ、警察の人が呼んでるわ。じゃあ、あとの事は追って知らせるから!とにかく無事で良かった。じゃあね!」

「あ、ちょっ!」

マシンガンの様に喋り、否定する隙も無く去って行った大家さん。

「なんか、元気な大家さんだな」

隣で話を聞いていた課長がボソッと呟いた。

「あの、すみません。大家さんがとんだ勘違いを……。良い人なんですが、思い込みの激しい人でして……」

変な勘違いをしたまま去って行ってしまって、申し訳ない、と頭を下げた。

「いや、全然気にしていないよ。いい人じゃないか。中条が無事だったと確認出来て本当に安心していたみたいだし」

「はい」

そう。悪い人じゃない。

ただ、ちょっとおしゃべりなだけ。
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