身代わりペット
お昼休み。
私は課長を探していた。
お昼のチャイムが鳴ってすぐに課長は一人でどこかへ行ってしまい、姿が見えなくなった。
「食堂にもカフェテラスにもいなかったし、残るは……」
私は空を見上げる。
あと見ていないのは、屋上位だった。
「屋上にいなかったら、もう止めよう」
課長を探すのに時間を費やしていては、私がお昼ご飯を食べ損なってしまう。
屋上への扉を開けると、強風が吹き抜け、せっかくセットした髪が一瞬で乱れてしまった。
「う~……風強っ!」
髪を手で押さえながら、屋上に出る。
見渡してみても、こんな風の強い日に屋上へ来る人なんていなかった。
課長の姿も、見当たらない。
「よし、帰ろう」
もう6月も終わろうかと言う季節。
寒い訳じゃないんだけど、風が強すぎて長時間ここにいるのは苦痛だ。
クルッと方向転換して歩き出そうとした時、微かに声が聞こえた気がして、足が止まる。
「課長……?」
の声に似ている気がして、その声を辿って行く。