身代わりペット

コンコン――。

後ろから突然、ノックの音がして振り向いた。

そこには、ドア枠にもたれ掛かって腕を組んでいる課長の姿。

―――来た。

「中条」

「はい」

「洗濯機、止まるまで時間があるだろ?」

「はい」

「じゃあこっちおいで」

「……はい」

トコトコと課長に近付くと、手を引かれリビングに連れて行かれた。

「おいで」

課長がソファーに座り、膝の上をポンポンと叩く。

「失礼します」

私は課長の横に座り、そのまま課長のヒザ目がけて寝転がった。

いわゆる、ヒザ枕の状態。

何処からともなくヘアブラシが出て来て、課長が私の髪を梳き始める。

鼻歌を歌ってご機嫌な課長をチラッと盗み見て、小さくため息を吐いた。

さっき言った、勘違いの原因のもう一つが、コレ。

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