哀しみの最果て
「10日程前、搬送された時には薬物過剰摂取によるショック状態にありまして、
一命は取り留めたものの現在このような状態です。」


「意識は戻るんですか?」


斉藤の表情が少し曇ったように感じる。



「まだなんとも言えません。明日目覚めるかもしれませんし、10年後も目覚めていないかも知れません。
今回腕の注射跡に付着していた成分を調べた所、恐らくコカインによる薬物過剰摂取だと思います。
普通の精神安定剤や睡眠薬ならまだ良いのですが、コカインやヘロインといった薬物ですと目覚めてからもどのような精神状態にあるか保障できません。」
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