俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
「樋口に返事してないんだろ?」
微笑んで大輔は塔子の瞳を見た。

「うん……。きちんと、話しをしてくるね」

「そうだな。これだけ長い間我慢したんだ。あと少しぐらいどうって事ないよ」
塔子から離れて、バタンと横に大輔は倒れ込んだ。

「ねえ、だいちゃん?」
「ん?」
急に、真面目なトーンで言った塔子の言葉に大輔は、頬杖をついて塔子を見た。

「あのね……こないだ一緒にいた人だれ?美樹って?」

「え?こないだ?」

「副社長と一緒にいた。BARで」
塔子はどんな答えが返って来るのか不安になり、ジッと大輔の答えを待った。

「あー、あれ?副社長の妹」

「へ?副社長の妹さん?」
意外な返事に塔子はポカンとして大輔を見た。

「ああ、今度結婚するんだよ。うちの会社の男と。それで式での司会を頼まれて。急いで連絡先を登録したから美樹しか入ってなかったんだけど……。こないだは打ち合わせもかねて、飲んでただけ…あれ?もしかして塔子誤解した?」

返事をしない塔子をぎゅっと抱きしめた後、
「塔子しかいないよ。俺には」
「よかった」
ホッとした塔子の額にキスを落とすと、大輔はベッドから降りてカーテンを開けた。

「いい天気だ」
バスローブ姿の大輔に塔子は今更ながらドキッとして、目を逸らした。

「塔子。朝食ルームサービスにするか?それとも食べに行く?」

「すぐ、準備するから食べに行こ?せっかく軽井沢まで来たし」

「了解」

「あっ、ここだいちゃんの部屋だね…。1度部屋に戻って着替えてくるね」
塔子もそう言うと、ベッドから立ち上がった。

「え??」
急に声を上げた大輔に、塔子は不思議そうに尋ねた。
「何?どうしたの?」

「嫌……。何でもないよ」

「何でもないって言って、どうして私は抱きしめられてるの?」
塔子はクスクス笑うと、大輔を見上げた。

「部屋に戻るって言うから……なんとなく?」
大輔は後ろから塔子を抱きしめると、塔子の首筋に頭を埋めた。

「仕方ないでしょ?着替えなきゃご飯行けないよ」

「ようやく手に入った塔子を離したくない」
大輔は更に力を込めた。

「着替えたらすぐ戻るから。ねっ?」
塔子はクスクス笑うと微笑んだ。
その言葉に大輔は塔子を開放した。

「ホントに、すぐ来いよ」
大輔はそう言うと、もう一度塔子を引き寄せキスをした。


(なんか、嘘みたい。だいちゃんが可愛すぎる……)
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