俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
「まて、塔子」

その言葉に、塔子の意思とは反し、足がピタっと止まった。

(今なんて呼んだ?)

塔子の心の中で、何か嫌なものが湧き出ている気がした。
嫌な汗が流れ出る。
開けてはいけない箱の蓋がカタカタと音を立てるのを聞いた気がした。


「塔子」
もう一度、はっきりとした声で呼ばれた。



「気づいてたんだ……」
半ば放心状態だったが、なんとか平静を装うと千堂を見ずに答えた。


「気づいてるに決まってるだろ?塔子、こっち見ろ」

(やめて、名前を呼ばないで。でも、こんな気持ち悟られる訳には行かない。私はもう昔の塔子じゃない。あの頃の塔子はいないの)

そう言い聞かせて、一息つくと千堂の方を振り向いた。

「久しぶりね、元気だった?」

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