俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
「ああ。塔子は?」

「見ての通り元気よ」
塔子は心の内を悟られまいと、真顔で答えた。

千堂は少し考えるような仕草をしたあと、複雑な表情を浮かべた。
「そうか。随分変わったな」

「気づかれないかと思ったのに」

『変わらないといけなかった』そう言葉にすることは出来ず、塔子は視線を彷徨わせた。

「気づくよ。どんな塔子でも」

その言葉に、塔子の心はざわざわと音を立て始める。
あの時みたいな気持ちにはなりなくない。

そう思うと慌てて、話を軌道修正した。

「社長に頼まれたからって、別にここで大丈夫ですから。千堂室長」
にこりと塔子は笑うと踵を返す。

「だから、そういう訳にはいかないんだよ。社長の命令は絶対だから」

後ろから聞こえたその声に、塔子は苛立ちを隠せず言葉を投げた。
「そんな、もっともらしい言葉はいりません。室長が言わなければわからないでしょう?」


千堂はそんな塔子をチラッと見たが、何も言わずタクシーを止めた。
そして、塔子の腕をつかむと、タクシーに乗せたると。後から自分も乗り込んだ。

(これ以上、接点をつくりたくない!家なんてバレたくない!)

塔子は内心狼狽していた。

「塔子が住所を言わないなら、俺の部屋に連れてくだけだぞ」
耳元で低く言われた言葉に塔子はゾクっとした。

そして慌てて運転手に住所を告げた。

そんな塔子を見て千堂はクスッと笑った。

(やめて。昔みたいに笑わないで)

諦めたように、塔子は窓の外を見た。

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