俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
(ぼんやりとしていても仕方ないよね……)
どれぐらいそうしていたか塔子自身わからず、時計に目を向けた。
帰ってきてから1時間程経過しており、そんなに長い間ただぼんやりとしていたのかと、塔子は自己嫌悪に陥り、小さく息を吐いた。
(今頃あの二人が何をしているのかな……)
どれだけ考えないようにしていても、気になって仕方が無く、夕食をなにか作るのも、食べるのも面倒になり、シャワーだけ浴びるとすぐにベッドに入った。
(もう寝ちゃおう!起きていても良い事なんてない!)
そうは思ってもすぐに眠れるわけもなく、塔子は小さくため息をつくとぼんやりと天井のライトを眺めた。
(昔の私が好き。あのふんわりしてた私が。じゃあ今は?今の私は?)
まさか昔の自分にヤキモチのような感情を抱くなんて想像もつかず、塔子はぐちゃぐちゃになった自分の気持ちを持て余し、何度も眠ろうと目を瞑った。
(どうしよう……美里ちゃんとよりを戻したりしてたら……。なんで二人で会ってたの?)
そんな不安まで襲い掛かり、塔子はギュッと枕に頭を埋めた。
うとうとしてガチャと扉の開く音に塔子はビクリとして起き上がった。
すぐに表れた大輔にホッとしたのと同時に、さっきまでの不安が蘇りどう大輔に声をかけて言いかわからず、塔子は動きを止めた。
真っすぐに玄関から入ってきた大輔は、言葉もなく塔子の所にくるとギュッと塔子を抱きしめた。
その行為に驚いて、塔子は大輔の腕の中で「だいちゃん……?」小さく呟くとそっと大輔の顔を覗き込んだ。
「塔子を抱きしめると安心する」
その言葉の意味がわからず、ただされるがままになっていると、大輔はそっと塔子を離して塔子の隣に座った。
「ただいま」
「おかえりなさい……どうしたの?急にきて」
塔子の問いに、大輔は少し考えた表情をした。
「塔子、嫌な気持ちになるかもしれないけど、俺は塔子には隠し事をしたく無いから聞いてくれる?」
大輔のその言葉の意味はすぐに分かったが、塔子は何も言わず頷いた。