俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
「今日、前に付き合ってた子に呼び出されたんだ……」

「うん。知ってる。受付の美里ちゃんでしょ?」
塔子の言葉に、今度は驚いて大輔は目を見開いた。

「なんで……美里ちゃんが話してるの聞こえちゃったの。それに帰り待ち合わせしてた所も見ちゃった……」

「え?俺が話す前にもうお前のこと不安にさせてたんだな。悪かった」
大輔はそっと塔子の頬に触れると、頬を撫でた。

「うん。本当にさっきまで、不安で不安でどうしようもなかったよ。でもこうして話に来てくれてよかった」
ホッとした表情で微笑んだ塔子を、もう一度大輔はギュッと抱きしめた。

「俺さ、最低な話なんだけど、塔子が実家にも帰らず俺の事を避けてることに気づいてから、結構軽い付き合いとかもしててさ。美里ちゃんの事も、塔子を忘れたくて、告白してくれたあの子と軽い気持ちで付き合ったんだ。でも……どんなに優しくしているつもりでも、相手には伝わってしまうんだよな。私の事好きですか?そう聞かれて即答できなくて。塔子の事が頭に浮かんだ。それで別れたんだ」
大輔の言葉に喜んでいいのか悪いのかわからず、塔子は黙って大輔の話を聞いていた。

「その後もきれいだな。かわいいなそれぐらいの感情は湧くけど、塔子を思っていたほどの気持ちを誰にも持てなかった。そして誰とも付き合わなくなった。しばらくして塔子に再会できた。そして人を愛するという事がわかった。だからきちんとあの子にも今大切に思ってる人がいることを伝えてきた。それが俺の自己満足だけどあの子へのケジメであり、謝罪でもあると思ったんだ」
一気に話した大輔に分かったよという意味を込めて頷いた後、少しの時間大輔を見つめた塔子は、ゆっくりと言葉を発した。

「ねえ、だいちゃん。今の私と昔の私どっちが好き?」


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