俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
「さっそくですが、打ち合わせをお願いいたします」
塔子は机に資料とパソコンを出すと、仕事に集中し淡々と今回の事業内容を説明し始めた。

「片桐さん、ここについてですが」


「はい」
社長ではなく千堂の問いに、塔子は一秒程返事が遅れた。
その遅れを彼に悟られただろうか。内心塔子はそう思ったが真っすぐに千堂を見据えた。

「そちらでしたら、ここの資料の……」
「わかりました」

「さすがだね。片桐君。ありがとう。今日の15時だからよろしく頼むよ」
社長は微笑むと塔子に声をかけて、手を上げた。
「はい。かしこまりました。では、一旦失礼します」

社長と千堂が会議室を後にしたのを見て、塔子は椅子に座り込んだ。


(知らなかった。まさか同じ会社だったなんて)
塔子はいきなり現れたその人に動揺を隠せなかった。

(落ち着け私。気づかれてないかもしれない。昔の私じゃない。もう、あの頃の子供の私じゃない)


大きく息を吐いて、会議室から化粧室へと移動し、鏡に映った自分に塔子は言い聞かせた。

どこか不安な瞳をした自分を見つめた。

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