俺様室長は愛する人を閉じ込めたい～蜜愛同居～

「オムライス。」

「デミグラス？」

「うん。」

その答えに、大輔は微笑んだ。
「懐かしいな。塔子のオムライス。」
呟くように言った大輔の言葉に塔子は心臓がぎゅっと音を立てた気がした。

（－　昔の塔子はいないのに。昔と何も変わらない。何も…。）

塔子は自分が一生懸命長い時間をかけて変えた自分が、一気に音を立てて崩れるような感覚に怖くなった。

卵スープを作り、ダイニングテーブルにオムライスとスープを並べた。

「できたよ。」

「ああ。」
当たり前に答え、昔のように席に着く大輔に、

「ねえ、なんでここにいるの？」
塔子は泣きそうな顔を向けた。

「なんでって？」
大輔は真顔で塔子を見た。

「これじゃあ、昔と変わらない。あたしは一生懸命変わろうとしたのに。」

「何か問題があるのか？昔と一緒で。」
大輔はオムライスに目を落とすと聞いた。

「あるわよ！あたしたちはあのころとは違う！」
少し声を荒げた自分に驚き、塔子は口をつぐんだ。