俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~

(なんだったの?今の……。なんでこんなに簡単に私にキスした?なんで……?)

「とりあえず、週末は来るから」
呆然と座り込んでいる塔子に向かって、大輔は平然と食べながら言いきると塔子を見据えた。

「な…何で……?」

「なんでって……防犯上」
当たり前のように言った大輔の言葉に、塔子は小さく頭を振ると、
「ち……がう……。今の……」

大輔は少し考えるような仕草をして、
「あー、今のキス?」
臆面もなく、さらっと口にするとそのままスープのカップ越しに塔子をジッと見た。

(な!なんでそんなあっさりキスとか言葉にできるの?こっちはまだ落ち着かないのに……)
そんな塔子とは対照的に、大輔は不敵な笑みを浮かべると、

「なんでって?なんでだろ。したかったからしただけだけど。だって昔の塔子と違うって言うから、どう違うか確かめたかっただけ?」
大輔の自分に問うような言い方に、塔子はイラっとして大輔を睨みつけた。

「何よその言い方……そんな簡単に……」

(なんかだんだん腹立ってきた。そうよ、私は昔の私とは違う。キスぐらいで動揺するような子供じゃないんだから!)

塔子は、自分をなんとか落ち着かせると席に着き、冷静を装い無言でオムライスに手を伸ばした。

そんな塔子をチラリと見ると、
「まあ、心配するな。お前が頼まない限り、キス以上なにもしないから」
大輔の言葉に、塔子はまた声を荒げそうになるのを必死におさえた。
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