俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
そして塔子は、その姿を確認すると安堵した。

「だい……ちゃん……。頭が痛いの……」
薄れる意識の中、塔子は無意識に大輔に手を伸ばしていた。

大輔はため息をつくと、その手を取り倒れてきた塔子を抱きしめた。

晃は、後ろで何かが倒れる気配がして慌てて振り返った。

「千堂室長……」
晃が目にしたのは、倒れた塔子を支える千堂の姿があった。

「塔子!大丈夫か?」
慌てて塔子のそばに近づいた晃に、
「樋口君、お疲れ様。ここからは私が」

「え?いや、そんな千堂室長……。俺が送って行くので」
晃は状況が飲み込めず困惑した表情を千堂に向けた。

そう言った晃を見た後、塔子をギュッとと抱きしめると、
「私が送って行くので、大丈夫です。お疲れさまでした」
あくまで大輔の言葉は柔らかかったが、晃はその有無を言わさない初めて見る千堂の瞳にビクっとして何も言えなくなった。

そして、大輔は、塔子を抱き上げると、路上に止めてあった車へと運んだ。

そんな大輔を、唖然として見送る晃を置いて車は走り出した。

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