俺様室長は愛する人を閉じ込めたい～蜜愛同居～

塔子はゆっくりと目を開けた。
見慣れない天井を見つめ、しばらく頭を巡らせたが、ここがどこなのか判らなかった。

「気分はどうだ？」
声のする方をそっと見ると、大輔が見下ろしていた。

「ここは……？」
なんとか絞り出した声は他人の声のように聞こえ、ぼんやりと大輔を見つめた。

「病院」

「え……？」

「覚えてないのか？お前、会社の外で倒れたんだよ」

「あ……」
そこまで言われて、なんとなく晃がいたこと、そして大輔を見て意識が無くなったことを思い出した。

そして、腕に繋がれた透明の管を見つめた。

「あと、３０分ぐらいで終わるらしい。終わったら帰っていいって」
少し怒りを含んだ大輔の声に、塔子は迷惑を掛けた事に気づき表情を曇らせた。

「ごめんなさい。ありがとう」

「なんで、こんなになるまで無理したんだよ。俺が出張に行ってる間になんでこんなことになってるんだ？」
大輔の静かな中にも、強い口調に塔子は口を噤んだ。

「だって……」
塔子は、言いたいことが上手く言えず、瞳に涙が浮かびそうになりギュッと唇を噛んだ。
「まあ、いい。とにかく今は休め」
冷たいその口調に、とうとう塔子の瞳からが零れた塔子の瞳を大輔はそっと覆うと、

「悪い。怒ってないから。でも、心配した」
その言葉に、塔子の瞳からまた涙が零れた。そんな塔子の涙を指で脱ぐい、額に優しくキスを落とすと、
「点滴は終わったら起こすから、もう少し休め」

いつもの優しい大輔の瞳に、塔子は安堵し頷くと瞳を閉じた。
頭を撫でてくれている大輔の手が心地よく、塔子は優しい闇に落ちて行った。