俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
「ああ。あれって……」
塔子の言葉に振り返った晃の目に飛び込んできた人たちに、晃は言葉を止めた。
そんな晃の言葉に、塔子も目線を遠くの4人席に向けた。

(あっ……)

妙に冷静な自分に塔子は驚いていた。

「副社長達だね。隣の人は秘書課の人かな?綺麗な人」

「そう、水川さんだな。千堂室長の隣の女の人は知らないけど……。塔子知ってる?」
晃はチラッと塔子を見た。
そんな晃の視線にも気づかないほど、塔子は大輔とその横の可愛らしい女性に目を奪われていた。

(あれが美樹さん?)
しかし、すぐにいつものポーカーフェイスを作ると、晃に微笑んだ。
「うんん、知らないな。言ってもそんなに親しい訳じゃないし。幼馴染って言っても子供の時だから、今の交友関係は全然わからないよ」

「まあ、千堂室長モテるし、女の一人や二人はいるか……」
晃の呟きに、塔子も同意した。
「そうだよ。昔からモテてたし。じゃあ行ってくるね」

「ああ」
晃の返事と同時に、4人の席から目を外そうとしたとき、大輔と一瞬目が合った。

驚いた大輔の瞳に気づいたが、すぐに塔子は少し微笑むと、軽く会釈をしトイレに向かった。
その塔子の顔を、そのまま驚いたような顔をして動きを止めた大輔を、晃はまだ見ていた。

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