俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
「水川さん、さっきの資料を片桐さんへ」
大輔の声に塔子も莉乃の持っている資料に目を落とした。

「こちらが、向こうの社長からの質問内容です」
莉乃の言葉に、塔子は頷くと、
「少しお時間いただけますか?早急に回答書と、改善案を作りたいので」
そう言って髪をゴムでまとめると、すぐさま仕事にとりかかった。

「解りました。では片桐さん何かあれば声を掛けて下さい」

「ありがとうございます」

大輔の声に、ビジネス上の笑みを浮かべると、塔子は仕事に没頭した。

「片桐さん、私たちはそろそろ社長のお迎えに行ってきますのでよろしくお願いします」
大輔は、塔子に声を掛けた。
「はい。もうこちらも終わるので、お戻りになられる頃にはお渡しできると思います」

「ありがとうございます」
大輔はお礼を言うと、会議室から莉乃と共に出て行った。

時間を置いて戻ってきた社長達に、塔子は立ち上がると頭を下げた。

「片桐君、わざわざすまなかったね」
「とんでもありません。こちらが……」

社長の正幸は塔子の資料を確認すると、
「ありがとう。完璧だね。さすがだ。システムの内容は詳しくても、契約内容とかは疎くてすまないね」
そういって微笑んだ正幸を見て、塔子もほっと一息ついた。
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