俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
「え?」
意外な問いかけに塔子は目を丸くした。

「付き合ってるんだろ?昨日キスしてたよな」
表情を変えず、少し恐怖すら覚えるような大輔の視線に、塔子は唇を噛んだ。

「なにそれ?私キスなんてしてない!付き合ってもない!もういいってば!自分だって、可愛い女の子といたじゃない!あの人が美樹さん!?」

塔子は、大輔の手を振り払って、涙をこらえるように大輔から目を逸らして走り出した。
「え?してないって……。待て、塔子!今のはどういう意味だ」

ホテルの外はすぐ森のような緑だった。
大輔を振り返ることなく、その緑の中を走っていく塔子の腕を大輔は捕まえると、そのまま自分の胸の中に引き寄せた。

「どこまで行くんだよ!お前、何やってるんだよ!」

「お願い一人にしてよ……離して」

「うるさい!」
言葉ではそう言っていても、抵抗する様子の無い塔子に、大輔は抱きしめていた腕に力を込めた。

そんな大輔の怒った口調と、優しい腕、そんな行動に塔子の中で何かがはじけた。
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