モウヒトメアイタイ~コラボ~
ひょいっと、横たわる私の上に、誰かが顔を出す。

声に似つかわしい、ちょっと中性的な感じのする、男の人。

かっ、かわいい。

こちらを見下ろしているせいで、色素の薄い髪が、顔にかかっている。

それも、彼の美貌を引き立たせている。

「サナ」

地響きをさせて、野太い声が響く。

カエルのようだ。

「オレはサナじゃない。『サナ』を模した形をしているだけで…まあいい、何だ?」

「エサか?食っていいか?」

カエルは、地面に横たわったままの、私を見ている。

サナ、と呼ばれた人がまた、私をのぞき込む。

そして、ふっと笑った。

ああ、この笑顔のためなら、カエルに食われてもいいかも。

「ダメだよ。君が間違って落としちゃったんだ。謝って帰ってもらわないとね」

残念そうなカエル。
< 4 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop