さよなら流れ星
ふらふらと立ち上がり、ベッドに勢い良くダイブする。顔をマットレスに押し付けたまま枕の横に置いた本を引き寄せ、しおりを挟んでおいたページを開いた。
早く、本の世界に逃げ込もう。
そう思って文字を追うけれど、心に浮かぶ黒いモヤが邪魔をして、一向に頭の中に内容が入ってこない。
…ああ、くそ。せっかく本を読み始めたってのに、まったく集中できやしない。
もうこれは眠るしかない、とまぶたを閉じた瞬間、頭の片隅から声が聞こえてきた。
_______また明日、と。
ガバッと身体を起こす。
そうだ。どうして忘れてたんだろう。
焦るようにベッドから降り、机の上に放置してあった端末を手に取る。昨日メモした11桁の番号を打ち込むと、間違っていないか確認もしないまま通話ボタンを押した。