さよなら流れ星
『今日も誰かと話したい気分だったの?』
「うん…まあ、そんなとこ。」
笑いまじりに答えると、彼女も微かに笑い声を漏らしながら『あたしも』と返した。
『一応さ、あたしにも友達はいるんだけど…新しいクラスになってからまだ半年も経ってないし、まだそんな仲良くなくてさ。
あんまり仲良くないとやっぱりどうしても気ぃつかうじゃん?
だから学校以外で話そうとは思えないんだよね。
…家族も、ここしばらくまともに話してない気がするし。』
ああ、と相槌を打ちながら、学校の人たちのことを思い出す。
今は夏休み期間だから会うことはないけど、たしかに僕にもそんな関係の人はいる。
…それは、「友達」と呼べるのかわからないけれど。
『…なのに現実には会ってすらいないきみにこんな風に話せちゃうの、変だね。顔が見えてないからかなあ?』
その言葉に彼女の顔を想像しようとして、やっぱりできなかった。
声だけなら、快活そうな印象があるけれど…それだけだとどうやったって顔まではわからない。
「僕も…不思議だよ。僕ってこんなに喋るタイプじゃないんだ。普段はもっと物静かな感じ。」
『ふふ、自分で物静かとか言っちゃうんだ。』
あと、よく笑うから、きっと笑顔の似合う子なんだろう。
どんな顔で笑うのかなあ。やっぱり顔を見てみたい。