さよなら流れ星
「ひなたって明るいよね」なんてよく言われるけど、あたしは自分をそんな風に思ったこと、一度だってない。
ただ愛想笑いと見てくれの雰囲気だけでそう判断するだけで、あたしの根っこのところなんて誰も気づきやしない。
あたしは本当はどこまでも暗くて、めんどくさくて、腹黒い、嫌な奴なんだ。
「だからさぁー聞いてんの?ひなた。」
「えっ、あ…ごめん、なに?」
ぼんやりしてた。そういえば今は女子会兼ランチの真っ最中だった。
機嫌を損ねないため誤魔化すように笑うと、しょうがないなあ、と話していたであろう友達が頬を膨らます。
「んもぉーちゃんと聞いてよね!これ!彼氏がくれたの!やばくない?!」
そう言って彼女が見せるのは首元のネックレス。
こんなに自慢げってことはどこかの有名ブランドかなにかなんだろうけど、生憎あたしはそこらへんに疎い。
「えーっやばいね!ナナミの彼氏優しすぎるでしょ!」
「ほんとだよねー。私もそんな男と付き合いたいわ。」
「ちょっと!アンタ彼氏いるでしょうが!」
「いやほら、それとこれとは別問題?的な?」
あはは、と適当に笑って場の空気を乱さないようにする。
いつからか、空気を読むことばっかり上手くなってしまった。